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台湾への食品輸出ガイド|輸入規制・食品表示・必要書類と手続きの流れ

台湾への食品輸出ガイド|輸入規制・食品表示・必要書類と手続きの流れ

「日本で売れている菓子や調味料を台湾でも売りたいが、何から手を付ければいいのか分からない」「台湾向けは産地証明書が必要と聞いたが、今も必要なのか」「Shopeeで日本から直送して売ってもよいのか」。台湾への食品輸出を考え始めた事業者からは、こうした相談がよく寄せられます。

この記事では、台湾への食品輸出に必要な手続きを、誰が何をするのか(日本の輸出者と台湾の輸入者の役割分担)から順に整理します。2025年11月の日本産食品の輸入規制撤廃で変わった点、品目別に残る証明書、中文の食品表示、越境ECで売るときの注意点まで、判断に必要なポイントをまとめました。

この記事の結論

  • 台湾で食品の輸入査験(輸入検査)を申請するのは台湾の輸入者です。日本側の仕事は、輸入者を決め、製品資料と中文表示の原稿をそろえることです。
  • 2025年11月21日に台湾が日本産食品の輸入規制を撤廃し、原発事故に伴う規制として求められていた産地証明書と5県産食品の放射性物質検査報告書は不要になりました。食肉・乳製品・貝類などの衛生証明書や、錠剤・カプセル状食品の登録は品目ごとに残っています。
  • 日本からの直送は、台湾の購入者自身による自用輸入に当たるかで扱いが変わります。台湾で販売するための輸入には自用輸入の免除は使えないため、取引の形に合わせて輸入者と手続きを決めます。
台湾への食品輸出 5ステップ(輸入査験・中文表示・証明書)

台湾への食品輸出は誰が何を手続きする?

台湾への食品輸出とは、日本で製造・加工した食品を、台湾の輸入者を通じて輸入査験と通関を済ませ、台湾で販売できる状態にする一連の手続きです。中心になる手続きは台湾側で行われ、申請するのは台湾の輸入者です。

台湾で食品を輸入する事業者は、輸出入業者としての登録と、台湾の衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)の食品業者登録を済ませたうえで、貨物ごとに輸入査験を申請します。日本のメーカーであるというだけでは申請者になれず、通常は台湾で必要な登録を備えた輸入者が申請します。そのため、最初に決めるべきなのは「台湾で誰が輸入者になるか」です。代理店・商社・現地法人・越境EC支援会社の台湾法人などが、その役割を担います。

日本側の役割は、輸入者が査験を通せるだけの資料をそろえて渡すことです。主な分担は次のとおりです。

手続き・準備 担当 日本側が用意するもの
輸出入業者の登録・食品業者登録 台湾の輸入者 なし(輸入者が登録済みかを確認する)
輸入査験の申請 台湾の輸入者(通関業者に委任可) 原材料・配合、製造者情報、規格書、賞味期限や保存条件などの製品情報
中文の食品表示 表示の責任は台湾の輸入者 表示原稿のもとになる情報(全原材料、添加物、栄養成分、アレルゲン)
衛生証明書など(品目による) 日本の輸出者が日本の発行機関に申請 食肉・乳製品・貝類などは、日本の行政機関が発行する証明書
関税・営業税の納付 台湾の輸入者 インボイスなど通関書類

輸入時には関税に加えて営業税がかかり、税率は原則5%です(出典:ジェトロ「電子商取引における留意点:台湾」)。貨物税・酒税がかからない食品では(関税課税価格+輸入関税)×5%で計算し、貨物税や酒税の対象品目ではそれらの税額も加えて営業税を計算します。品目別の関税率や配送方法の比較は、台湾輸出ガイド(関税・規制・通関の流れ)で解説しています。

2025年11月の輸入規制撤廃で何が変わった?

台湾は2025年11月21日、東京電力福島第一原子力発電所の事故後に続けてきた日本産食品の輸入規制を撤廃しました。これにより、福島・茨城・栃木・群馬・千葉の5県産食品に求められていた放射性物質検査報告書と、原発事故に伴う規制として日本産のすべての食品に求められていた産地証明書の添付が不要になりました(出典:農林水産省 報道発表(2025年11月21日、台湾による日本産食品の輸入規制撤廃))。

それ以前にも段階的な緩和があり、2024年9月には5県産の野生鳥獣肉・きのこ類・コシアブラの輸入停止が解除され、5県以外の一部の食品で求められていた検査報告書も不要になっていました。これらは原発事故に伴う規制の解除で、動物検疫など別の制度による輸入条件は引き続き適用されます。「台湾向けの食品は産地証明書が必須」と書かれた解説は、2025年11月より前の情報です。輸出準備の資料や社内マニュアルが古いままになっていないか、確認しておきましょう。なお、取引先や別の制度で求められる原産地証明書まで一律に不要になったわけではありません。

一方で、撤廃されたのは放射性物質に関する規制だけです。台湾の食品安全衛生管理法に基づく輸入査験、中文表示、添加物や残留農薬の基準、品目ごとの衛生証明書や施設認定は、これまでどおり必要です。「規制がなくなった」のではなく、原発事故に関連する追加書類がなくなったと理解するのが正確です。

品目によって必要な証明書・認定は違う?

違います。菓子や調味料などの一般的な加工食品は、日本の行政機関が発行する証明書が不要なものが多い一方、食肉・乳製品・貝類などは衛生証明書や施設の認定が必要です。主な品目の扱いは次のとおりです。

品目 日本側で必要になる主な手続き(2026年10月時点)
菓子・調味料・飲料などの加工食品 日本の行政機関の証明書は原則不要。台湾の添加物・残留農薬・汚染物質の基準に合うか、原材料の段階で確認する
食肉・食肉製品 牛肉は台湾向けに認定されたと畜場・加工施設での処理、衛生証明書、動物検疫所の輸出検査と輸出検疫証明書が必要。豚肉は豚熱に伴う輸出停止の対象で、鶏肉も輸出が解禁されていない。加熱豚肉製品や缶詰家きん肉製品には別の取扱条件があるが、施設認定や受入状況を品目ごとに確認する
乳・乳製品 都道府県などの衛生主管部局が発行する衛生証明書が必要
水産物 貝類(加工品を含む)と一部の生きた水産動物は衛生証明書が必要。台湾が予定していた水産食品全般の施設登録は手続きの切り替えが延期されているため、出荷前に最新の運用を確認する
錠剤・カプセル状の食品、健康食品 原料の適法性確認に加え、商業輸入では原則として輸入前の查驗登記(審査・登録による許可)が必要。貨物ごとの輸入査験とは別の手続き。「健康食品」と表示・広告する場合は、さらに健康食品としての許可と、認められた保健効果の範囲の確認が必要
酒類 食品の規定に加えて台湾の酒類の規定(菸酒管理法)が適用される。郵便販売や電子ショッピングなどによる販売が禁止されているため、一般食品と同じEC販売は前提にできない

牛肉と乳製品の扱いはジェトロ「畜産加工品の輸入規制、輸入手続き(台湾)」、水産物はジェトロ「水産物の輸入規制、輸入手続き(台湾)」に品目別の詳細があります。認定施設の一覧や証明書の申請様式は改正が続くため、出荷のたびに最新の版を確認してください。

見落としやすいのが添加物です。日本で使える添加物でも、台湾では使えない、または使用量の上限が違う場合があります。完成品の配合だけでなく、調味料やエキスなどの原料に含まれる添加物(キャリーオーバー)まで、原材料メーカーに確認しておく必要があります。

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台湾へ食品を輸出する流れ(5ステップ)

台湾への食品輸出は、規制の確認、輸入者の決定、表示と資料の準備、証明書の手配と出荷、輸入査験と通関の5段階で進みます。日本側が主に動くのはSTEP1・3・4で、STEP2とSTEP5は台湾の輸入者が中心になります。

STEP1 品目と原材料の規制を確認する

売りたい商品ごとに、品目の区分(加工食品・食肉製品・乳製品・水産物など)と、原材料・添加物が台湾の基準に合うかを確認します。この段階で、輸出できない品目(2026年10月時点の生鮮・冷凍の豚肉や鶏肉など)、査験の前に登録が必要な品目(錠剤・カプセル状食品など)、配合を変えないと売れない商品を洗い出しておくと、後の手戻りが減ります。

STEP2 台湾の輸入者を決める

輸入査験を申請する輸入者を決め、輸出入業者の登録と食品業者登録が済んでいるかを確認します。輸入者は既存の代理店や商社のほか、越境EC支援会社の台湾法人が担う場合もあります。誰が輸入者になるかで、在庫を置く場所や販売できるモールが変わります。

STEP3 中文ラベルの原稿と製品資料を用意する

全原材料、添加物、栄養成分、アレルゲン、賞味期限、保存方法などの製品情報を輸入者に渡し、中文表示の原稿を一緒に作ります。中文表示は原則として輸入時までに整える必要があるため、出荷前にラベルを貼るか、台湾で貼る場合はその条件を輸入者と確認しておきます。規格書や成分表は、査験で書類審査を受けるときにも使います。

STEP4 必要な証明書を手配して出荷する

食肉製品・乳製品・貝類などは、日本の発行機関に衛生証明書を申請し、貨物と一緒に送ります。牛肉などの畜産物は、衛生証明書に加えて動物検疫所の輸出検査を受け、輸出検疫証明書も取得します。常温・冷蔵・冷凍の別や賞味期限の残り日数も、物流会社と輸入者に共有しておきます。

STEP5 輸入査験・通関を経て販売する

輸入者が輸入港を管轄する査験機関に申請し、書類審査や検査を受けます。申請は貨物の到着後だけでなく、到着前15日以内から行えます(出典:食品及相關產品輸入查驗辦法(中国語))。基準に合わない場合は、販売できずに積み戻しや廃棄になることもあります。初回の出荷は少量で始め、査験を通った実績を作ってから量を増やすのが安全です。

中文の食品表示に書く項目と表現の注意点

台湾で販売する包装食品には、中国語(繁体字)で法定の表示事項を記載する必要があります。日本語のパッケージのまま売ることはできず、中文ラベルを上から貼るか、台湾向けのパッケージを作ります。中文表示は原則として輸入時までに付けておく必要があります。輸入後に改装・小分け・加工する場合や、査験機関の承認を受けて表示を補正する場合には台湾で対応できることがありますが、その条件と手続きは輸入者に事前に確認してください。

台湾の食品安全衛生管理法第22条で定められた主な表示事項は次のとおりです。

  • 品名 ── 内容がわかる名称。台湾で一般的な呼び方を使う
  • 内容物の名称 ── 2種類以上の原材料は含有量の多い順に記載
  • 正味量・容量・数量
  • 食品添加物の名称
  • 製造者または台湾の責任業者の名称・電話番号・住所 ── 輸入品は台湾の輸入者を記載
  • 原産地(国)
  • 有効期限(賞味期限)
  • 栄養表示 ── 熱量・たんぱく質・脂質・飽和脂肪・トランス脂肪・炭水化物・糖・ナトリウム
  • 遺伝子組換え原料の表示(該当する場合)
  • アレルゲンの表示 ── 甲殻類・マンゴー・落花生・乳・卵・ナッツ類・ゴマ・グルテンを含む穀物・大豆・魚類・一定量以上の亜硫酸塩など、台湾が定める品目

日本の表示と項目が似ていても、栄養成分の項目や単位、アレルゲンの対象品目は台湾の規定に合わせて作り直す必要があります。原稿は輸入者が台湾の規定に照らして確認し、日本側は数値の根拠(栄養成分の分析値や計算値)を出せるようにしておきます。

表現にも注意が必要です。一般の食品で、病気の予防や治療につながるような医療的な効能をうたうことは認められていません。「健康食品」という名称や保健効果の表示は、台湾で許可を受けた製品に限られます。ラベルだけでなく、モールの商品ページやKOL(インフルエンサー)の投稿も表示・広告として扱われるため、起用する場合は台湾KOLマーケティングの進め方もあわせて確認し、投稿内容を事前にチェックできる体制にしておきましょう。

越境ECや個人輸入で売るときの注意点は?

日本から台湾の消費者へ直送する場合は、購入者自身による自用輸入に当たるかを確認する必要があります。区別の基準は販売数量や継続性ではなく、台湾の購入者が自分で使うために輸入する取引なのか、台湾で販売するための商業輸入なのかです。自用輸入の査験免除は、台湾国内で販売するための輸入には使えません。

台湾の食品薬物管理署の規定(出典:衛生福利部食品藥物管理署の案内(中国語))では、一般の食品の自用輸入は、輸入申告書の単一項目ごとの価額が1,000米ドル以下、かつ重量が6kg以内などの条件を満たす場合に輸入査験の申請が免除されます。単一項目は任意に分けられるものではなく、品名・成分・ブランド・製造工場・産地が同じものなどをまとめて判定します。錠剤・カプセル状の食品は、元の包装のまま1種類12個(瓶・箱など)まで、合計36個までです。この条件で受け取った食品は自用に限られ、台湾国内で転売することはできません。また、査験の免除は動植物検疫の免除を意味しないため、肉を含む食品などは別途検疫の条件を確認する必要があります。

販売方式ごとの違いを整理すると、次のようになります。

販売方式 輸入の扱い 向いているケース
日本から購入者へ直送(越境EC) 購入者自身の自用輸入に当たる取引かを確認する。モール・配送会社の規約による食品カテゴリの制限もある 取引形態・商品区分・規約を確認できた商品に限る
輸入者経由で台湾に在庫を置く 輸入者が査験・通関を行い、中文表示をつけて販売 台湾国内での販売、台湾モール(momoなど)への出店、実店舗への卸
代理店・商社への卸 代理店が輸入者として手続きと販売を担う 販売や集客まで任せたい場合。価格や売り方の主導権は代理店に寄る

少量のテスト販売であっても、取引形態、商品区分、モールや配送会社の規約に応じて必要な手続きは変わります。Shopeeなど日本から出品できるモールの食品の出品条件は変わることがあるため、商品ごとに最新の規約を確認してください。なお酒類は、台湾の菸酒管理法で電子ショッピングなどによる販売が禁止されています。台湾以外の国も視野に入れて自社ECで海外販売を始める方法は、Shopifyで越境ECを始める方法で紹介しています。

準備期間・費用の考え方と輸入者の選び方

準備期間と費用は、品目と販売方式でほぼ決まります。証明書が不要な加工食品を、すでに登録済みの輸入者経由で出す場合は、主な作業は表示原稿と製品資料の準備です。食肉製品や乳製品のように施設認定や証明書が必要な品目、配合の見直しが必要な商品は、その分だけ期間と費用が増えます。

費用は大きく、中文ラベルの作成と貼付、証明書の発行手数料、国際輸送と通関、関税・営業税、台湾での保管・配送、販売のための出店・広告に分かれます。見積もりを取るときは、査験で不合格になった場合の積み戻しや廃棄の費用を誰が負担するかまで確認しておくと安心です。

輸入者や支援会社と契約する前に、次の点を確認しておきましょう。

  • 輸入者は誰か ── 輸出入業者の登録・食品業者登録の有無と、輸入者名義でモールに出店できるか
  • 表示の責任 ── 中文ラベルの原稿を誰が作り、誰が規定との適合を確認し、輸入時までにどこで貼るか
  • 配合情報の開示範囲 ── 査験や表示に必要な情報をどこまで渡し、どう管理するか
  • 不合格・回収時の対応 ── 費用負担と連絡の流れ

化粧品など食品以外の商品や、錠剤・カプセル状食品など追加の手続きが必要な商品も一緒に台湾へ出す場合は、品目ごとに手続きが違います。化粧品は台湾PIFと化粧品輸出の手続きで解説しています。台湾向けの販路・集客・物流の全体像は台湾越境ECガイドにまとめています。

よくある質問

Q. 台湾へ食品を輸出するのに、産地証明書は今も必要ですか?

A. 原発事故に伴う規制として求められていた産地証明書は不要になりました。

台湾は2025年11月21日に日本産食品の輸入規制を撤廃し、日本産のすべての食品に求めていた産地証明書と、福島など5県産食品の放射性物質検査報告書の添付をなくしました。食肉製品・乳製品・貝類などに必要な衛生証明書や、取引先など別の理由で求められる原産地証明書は、この撤廃とは別なので必要に応じて用意します。

Q. 日本の食品メーカーが、台湾の輸入査験を自分で申請できますか?

A. 日本のメーカーであるというだけでは申請者になれません。通常は、輸出入業者の登録と食品業者登録を備えた台湾の輸入者が申請します。

日本の食品メーカーは、台湾の輸入者に原材料・配合、規格書、賞味期限などの製品資料と、中文表示のもとになる情報を渡します。台湾に輸入者がいない場合は、代理店・商社・越境EC支援会社の台湾法人などに輸入者を依頼します。

Q. 台湾向けの中文ラベルは、いつまでに貼る必要がありますか?

A. 原則として、輸入時までに中文表示を整える必要があります。

輸入後に改装・小分け・加工する場合や、査験機関の承認を受けて表示を補正する場合には、台湾で対応できることがあります。台湾で貼る場合は、適用される条件と手続きを輸入者に事前に確認してください。表示の内容に責任を持つのは台湾の輸入者で、ラベルには輸入者の名称・電話番号・住所を記載します。

Q. 越境ECで、日本から台湾の消費者へ食品を直送して販売できますか?

A. 購入者自身による自用輸入に当たる取引かどうかで判断が変わり、一律に可能とはいえません。

自用輸入の査験免除は、台湾国内で販売するための輸入には使えません。少量のテスト販売であっても、取引形態、商品区分、モールや配送会社の規約に応じて必要な手続きを確認します。台湾国内で販売する場合は、台湾の輸入者を通じて査験を受けて輸入します。

Q. 日本から台湾へ輸出できない食品はありますか?

A. あります。2026年10月時点で、豚肉は豚熱に伴う輸出停止の対象で、鶏肉も日本からの輸出が解禁されていません。

加熱豚肉製品や缶詰家きん肉製品には別の取扱条件がありますが、制度があることと、すぐに出荷できることは別です。加工方法、施設認定、証明書、最新の受入状況を品目ごとに確認します。台湾で使用が認められていない添加物や、基準を超える残留農薬を含む食品も、査験を通らないため販売できません。

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※本記事の情報は2026年10月時点のものです。最終更新:2026年10月28日

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